みなさんこんにちは!Jです。
本日入学式という学校も多いかもしれませんね~。
新入生、初々しいですよね。私も初心に戻って頑張ろうと思います。
さて、今日は「受精卵検査」(受精卵診断)についてのまとめ、その2です。
正しくは着床前受精卵遺伝子スクリーニング(PGS)といわれるものですが、体外受精に失敗したことのあるかたでしたら興味のあるニュースではないかと思います。
話は続いていますので、良かったら前回のものも読んでみてくださいね。
前回、このPGSという検査が、どのようなものなのかをお話しました。
今までは、遺伝的に重度の病気を持ったカップルの場合、その病期の遺伝子を持っていないかどうかの部分だけについて受精卵の遺伝子検査を行っていました。
それが、今回の研究では、遺伝子すべてを調べるということになり、対象も広がったことで関心が高まっているのです。
遺伝子に異常のない受精卵(正確には胚と呼びます)のみを子宮に戻し、異常が見つかった受精卵は破棄するというもので、これが命の選別につながらないかという議論が沸き起こっています。
たとえば、ダウン症は21番という番号の遺伝子が、通常2本なのに3本あります。
この検査を行うと、当然それが分かりますので、その受精卵が子宮に戻されることはないわけです。
そういった、”産まれてこれるかもしれないが、障害はあると思われる”受精卵まで排除してしまうことが、倫理的に許されるのかといった問題が積み残しになっているわけです。
ただ、その点においては、この検査だけではなく、いわゆる”新型出生前診断”(NIPT)の導入が、2013年4月からなされているのと並行して、考えていかなければならない問題だと思います。
これは、妊婦さんの血液を調べることで、ダウン症などの遺伝子異常が、99.9%の確率でわかるということから、マスコミに大きく報道されました。
出生前診断は、妊娠してから胎児の遺伝子を調べるものなので、異常が見つかった場合にその赤ちゃんを中絶するかどうかの決断を迫られることから、カップルの心理的負担や妊婦さんの身体的負担も大きくなると言われています。
その点、このPGSでは妊娠前に遺伝子の異常が分かるのだから、身体的苦痛がなくて良いではないかという意見があるわけです。
しかし逆に言えば、あまり真剣に考えずに命を選別してしまうことにつながるのでは?という懸念もあります。
今回の臨床試験の対象は、
(1)体外受精で3回以上不成功
(2)2回以上の流産を経験した「原因不明習慣流産症例」
ですが、臨床試験ですので、コントロール群といって、PGSを行わずに子宮に戻す女性も半数必要です。
PGS診断を行って、以上のない受精卵を戻す300人と、診断しない300人を、3年かけて研究していくようです。
診断してもらいたい女性と、診断してもらいたくない女性をどのように選ぶのでしょうか?ご本人の希望が優先できると良いのですが、どのような形で振り分けかけるのかはまだ発表がなされていないようです。
例えば、高齢の患者さんがコントロール群に選ばれた場合、タイムリミットを考えると酷な気がします。
近い将来、全国の専門施設10施設前後が指定されて臨床試験がなされるようですが、その結果を見守りたいと思います。
最後に1つ付け加えたいのですが、遺伝子に異常がない受精卵であっても、必ず妊娠するとは限りません。
また、遺伝子の問題がないからといって、完璧な子供になるわけではありません。
どんなに医学が進んでも、子どもは授かりものなのです。
命は作れないということを忘れたくないと思います。
これを読んでくださっているみなさんに、一日も早くかわいい赤ちゃんが授かりますように!!