みなさんこんにちは、Jです。
台風が何度も来たかと思えば、急に寒くなったりして、体調の管理が難しいですね。
みなさんも風邪にはお気を付けください。
さて、今回は「不育症かもしれない」と疑うとき、と題してみました。
不育症とは、妊娠はしても、流産や死産を繰り返してしまう病気です。
2回以上続けて流産をした場合に、不育症が疑われます。
検査しないと不育症かどうかは確定できないのですが、検査が中途半端な場合も不育症が見逃されてしまい、治療の機会を失っているかたもおられます。
二人目以降に不育症が発覚することもあります。
一人産んでいるから問題ないわけではないのです。
当院では、不育症の治療に力を注いでいます。
不育症であることが見逃され、治療されないことで流産してしまう赤ちゃんの数は、年間5万人以上とも言われています。
一方、”不妊症”の治療によって出産される赤ちゃんの数は年間3万人くらいですから、それと比べても大きな数字だということがわかっていただけると思います。
失われる赤ちゃんの数という、数字の問題もあるのですが、一番大きいのは心の問題です。
不育症の場合、「妊娠した!うれしい!」という人生最大の喜びから、わが子の命を失うという、人生最大の悲しみへと急降下してしまうわけで、それを経験するご夫婦の気持ちを思うとたまりません。
まして、ご自分が不育症だと知らなかったために、お腹の赤ちゃんを死なせてしまったという、罪の意識に涙する患者さんを目の前にすると、どんな慰めの言葉も届かないことを思い知らされます。
本当は、「赤ちゃんを死なせてしまった」のではなく、赤ちゃんは「ママ、不育症の検査をしてね。次にママのところに来たいと思っている兄弟のために、それを知らせに来たよ!」と命をはって教えに来てくれたのだと思うのです。
だからこそ私は、患者さんのお気持ちが落ち着くのを見計らって、「不育症の検査をなさってみてはいかがですか?」とおすすめすることにしています。
それが、赤ちゃんの声を代弁する、鍼灸師のつとめだと思っているからです。
そして、検査するなら、半端な検査ではなく、きちんとすべての項目を網羅してもらいたいと思います。
不育症に対する理解は、婦人科医でもまだまだ乏しいのが現実です。
患者さんの中には、不育を疑って検査したいと希望したところ、ドクターの判断で「この項目だけ心配だから、この数値だけ検査しましょう」というように一部の検査だけされた方がおられます。
その結果、「問題ないから不育症ではないですね」と言われたものの、その後も流産してしまったのです。
専門の病院で検査をおすすめしたところ、やっぱり不育症で、ヘパリンの自己注射が必要と診断されるレベルでした。
不育症はこわい病気ではありません。
きちんと診断されて、正しい薬を使えば、ほとんどのかたが満月齢で出産できるのです。
当院に通ってくださった患者さんで、専門医の診断を受け、きちんと薬を使ったにもかかわらず流産したかたは、今のところゼロです。
ただ、不育症はまだまだ研究途上であるため、詳しく知っている医師が少ないのも事実。
どうか、専門の病院で、きちんとした診断を受けていただきたいと思います。
厚生労働省も、不育症研究班を立ち上げました。
このサイトには、全国の不育研究機関も紹介されています。
ぜひご一読ください。
http://fuiku.jp/