これをクリアしないと妊娠しない ~その3~

みなさんこんにちは!Jです。
台風がたくさんやってくる秋ですが、みなさんの地域では被害はありませんでしたか?
実りの秋にしたいですね。
さて、今回は、シリーズでお送りしている「これをクリアしないと妊娠しない」の、3回目です。
妊娠するための条件11段階をもう一度おさらいしておきましょう。
1.卵胞が成熟する
2.排卵する
3.卵管の先端(卵管采 らんかんさい)が卵子をキャッチする
4.排卵したあとの卵胞の膜から黄体ホルモンが出る
5.子宮内膜がふかふかな、着床しやすい状態になる
6.精子が膣内に射精される
7.頸管粘液が潤沢になっている隙間を伝って、精子が子宮内に侵入する
8.子宮から卵管へと精子が進んでいく
9.卵管の端で精子と卵子が出会い、受精する
10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く
11.胚盤胞という状態まで育った”卵”が子宮内膜に着床する
今日は、このうちの
3.卵管の先端(卵管采 らんかんさい)が卵子をキャッチする についてお話します。
ただ、
9.卵管の端で精子と卵子が出会い、受精する
10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く
についても関係が深いので、これらの話も加えていきます。

3.卵管の先端(卵管采 らんかんさい)が卵子をキャッチする 卵胞が成熟し、排卵すると、わずか2ミリの卵子を卵管采が捕まえにやってきます。
ラッパの先端のような、箒の先のような姿をしている卵管の先端部がニューッと伸びてきて、小さな卵子を取り込んで卵管に送り込みます。
自然妊娠だと、この卵管の端っこに精子がたくさん待ち構えていて、卵子を取り巻いて受精します。
これが
9.卵管の端で、精子と卵子が出会い、受精する です。
精子のせいで出会えないケースもありますので、詳細は9.の解説の回にゆずることにいたしましょう。
受精した卵子は、卵管を旅している間に分割を繰り返し、子宮にたどり着いて着床するのです。
さて、ではこの過程に問題が起こるとしたら、どういう場合でしょうか?
よく聞く単語に「キャッチアップ障害(捕捉障害~ほそくしょうがい~)」というのがあります。
「いろいろと検査したけれど、明確にどこかが詰まっているとかはないんだけどね、子宮内膜症があるから、キャッチアップ障害かもしれないね」とドクターから言われるケースです。
キャッチアップ障害とは、卵管采が卵子をキャッチできない状態のことです。
卵子は腹腔に放出されたまま、卵管に入ることができないので、妊娠できません。
排卵する場所に卵管采を伸ばして、小さな卵子を取り込むためには、卵管が自由に動ける必要があります。
ところが、子宮内膜症などで癒着があると、卵管が周りの組織とくっついていて自由に動けず、卵を捕まえにいけないのです。
また、卵管采がきれいに開いていなくて、咲き終わった朝顔みたいに口を閉じていても卵は卵管に入っていけません。
卵管采ではなく、10センチの長さがある卵管のどこかがくっついていても、卵は子宮にたどりつけず、精子は卵に出会うことができません。
この状態を「卵管閉塞~らんかんへいそく~」と言います。
多くのケースでは、閉塞だけではなく、卵管の内膜の線毛組織も働かなくなっていることが多いです。
本来なら、ビロードみたいな線毛が細かく動くことで卵をゆっくりと子宮に導いてくれるのですが、この働きがないと、途中で卵が止まってしまうことになるのです。
卵管閉塞の詳細は
10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く でもくわしくお伝えしますが、卵管は一番細いところではわずか内径1ミリなので、閉塞しやすい器官といえます。
閉塞の原因になる要素としては、クラミジアや淋病の感染や、虫垂炎、子宮外妊娠などがあげられます。
クラミジアは、無症状のことも多いので、一度検査しておくことをお勧めします。
では、卵管が癒着していたり、卵管采が変形・閉塞を起こしている場合はどうするかというと、現実的にはART(高度生殖医療~こうどせいしょくいりょう~」を勧められることが多いです。
癒着をはがす手術や、卵管采を開く手術もあるのですが、卵管の中の線毛組織も一緒に働かなくなっていることが多いので、多くの場合はARTを勧められると思います。
卵巣から、卵をいったん体の外に取り出して受精させ、子宮の中に戻すARTなら、卵管を通過しなくて済むわけです。
卵管は、どちらか一方だけでも通っていれば妊娠は可能です。
逆にいえば、子作りを始めて2年を過ぎている場合は、卵管が通じているかどうか検査をする必要があります。
両方の卵管が通じていない場合は自然妊娠しませんから、すぐにARTに移行したほうが時間の節約になります。
じつは、不妊の原因の中で一番多いのがキャッチアップ障害と卵管閉塞です。
でも、卵管が閉塞していても、ARTで妊娠するかたは本当にたくさんおられます。
「知るのが怖い」という気持ちも「痛い検査はイヤ」という気持ちも分かりますが、子宮卵管造影(しきゅうらんかんぞうえい)検査は一度しておきましょうね。

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