これをクリアしないと妊娠しない ~その11~

みなさんこんにちは!Jです。
首都圏に雪が降ったりして、今年は本当に寒いですね。お体を冷やされないように気を付けてくださいね。冷えは妊娠の敵です。
さて、今回は、シリーズでお送りしている「これをクリアしないと妊娠しない」の、11回目です。
妊娠するための条件11段階をもう一度おさらいしておきましょう。
1.卵胞が成熟する
2.排卵する
3.卵管の先端(卵管采 らんかんさい)が卵子をキャッチする
4.排卵したあとの卵胞の膜から黄体ホルモンが出る
5.子宮内膜がふかふかな、着床しやすい状態になる
6.精子が膣内に射精される
7.頸管粘液が潤沢になっている隙間を伝って、精子が子宮内に侵入する
8.子宮から卵管へと精子が進んでいく
9.卵管の端で精子と卵子が出会い、受精する
10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く
11.胚盤胞という状態まで育った”卵”が子宮内膜に着床する
今回は、このうちの
10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く についてお話していきます。

10.分割を繰り返しながら卵管を下り、子宮にたどり着く 前回もお話しましたが、卵子と精子が巡り合ったからといって、必ずしも受精するわけではありません。
さらに、受精しても順調に分割が続くとは限りません。
順調であれば、卵管膨大部で卵子と精子が出会い、受精し、分割しながら卵管を下って子宮まで辿り着くのが約5日後くらい。
それから1日から2日かけて子宮の内膜に結合していきます。
ですから、排卵から1週間後くらいに着床するのが一般的です。
ただ、卵管が細くなっていると精子は通れても、受精卵は通れないという場合があります。
卵管炎などで卵管が非常に細くなっていたり、線毛が荒れていたりしてうまく子宮まで運べない場合、卵管のどこかでそのまま止まってしまうこともあるのです。
卵管の中だけでなく、腹腔などに卵がこぼれてしまうこともあるのですが、子宮内膜以外のところに着床すると「子宮外妊娠~しきゅがいにんしん~」となります。
卵の成長が止まって、そのまま自然に吸収されてくれれば良いのですが、卵管の細いところでどんどん大きくなると、やがて卵管を破ってしまうことになります。 そうなると卵管から大出血し、最悪の場合出血死することもあります。
とはいえ、現代では妊娠検査薬が発達していますから、妊娠がわかったらすぐに病院に行くことで危険は避けられます。怖がらなくて大丈夫ですよ。
恐れるべきはむしろ性病などの感染で、クラミジアなどの感染症が卵管炎の原因の1つになりますので、妊娠前に感染症の検査をしておくことは大事です。
さて、卵管の問題がなければ、どの受精卵もそのまま順調に育っていくのでしょうか?
実は、卵管がきれいに通じていて、子宮内膜に問題がなくても受精卵の分割が止まってしまうことがあります。
一番多い原因は遺伝子異常です。
遺伝子異常というとビックリしてしまうかもしれませんが、非常によくある出来事なので、深刻にとらえる必要はないのです。
人間の体は46本の染色体でできているのですが、精子と卵子だけは半分の数になっています。
半分と半分が組み合わさって一人分の遺伝子になるためです。
そうやって数を減らす作業を「減数分裂~げんすうぶんれつ~」と言うのですが、半分にする作業の中でどこかが2つくっついたままになったり、2つとも外れてしまったりということがおきます。そうなると、分割がどこかの時点で止まってしまうのです。
遺伝子異常による発育の停止は、着床までの間に限らず、妊娠中のいつの時点であっても起こり得ます。
その大部分は心拍が確認できる前の段階に起こり「化学流産~かがくりゅうざん~」と呼ばれます。
判定薬で陽性が出たものの妊娠しなかった場合は、重大な遺伝子異常があったための自然淘汰なのです。 流産と名前はついていますが、健康な女性でもよく経験することで、ご本人も気づいていない間に起こることが多いのです。バグのあるプログラムが止まってしまうようなものだと割り切ってしまうほうが良いと思います。
1つだけ気に留めていただきたいのは、この遺伝子異常は卵子側に起こりやすく、卵子の老化にともなって遺伝子異常の増える確率が高くなっていくということ。
これは卵子が、減数分裂が完了しない状態で保存されているためです。
卵子は、精子が卵子の中に入ってきてから最終的な減数分裂を終えるのですが、長い間眠っていればいるほど、フリーズしていたシステムはバグを起こしやすくなるのです。
36歳を過ぎると妊孕性(にんようせい)が低くなり(妊娠しにくくなるということ)、42歳を過ぎるとほぼ自然妊娠はなくなると言われています。
では、体外受精などのARTならうまくいくかというと、「とても良い卵ですよ」と言われて子宮に戻したのに、着床しないということが起こってきます。
卵の見た目では、遺伝子異常があるかどうかはわかりません。
グレードの良い卵の30%に遺伝子異常があるといわれているほどなのです。
女性が妊娠できる時間は限られています。
くやしいけれど、それは事実です。
女性が安心して子供を産める社会が一日も早く実現することを切に願っています。

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