基礎体温と低体温⑸

こんにちは。Yです。
さて、今回は「低体温」についてです。
低体温には、死に至る「低体温症」と、
正常体温のセットポイント(※)が他の人よりも低い「低体温」との
2つの意味があると前回書きました。
セットポイントが低くなった状態の「低体温」
最近、色々な場面で見聞きする事も多くなったこの言葉ですが、
実際にはどういう状態なのでしょうか。
(※)セットポイント:体内に設定された、ある一定の温度帯を保つための基準値。
          間脳にある視床下部で決められている。
          いわゆる「平熱」のこと。
          通常は各人により、36〜37℃の範囲で設定されている。
         

低体温って何だろう 低体温とはセットポイントが他の人よりも低く、
35℃台が常態化している状態をいいます。
しかし、女性は女性ホルモンの働きで、
周期的に体温が上昇と下降を繰り返します。
なので、低体温状態になっている事を気付かない人は多いようです。
「隠れ低体温」というべき状態になっていると言えます。
月経周期と低体温 基礎体温表を付けていらっしゃる方、
低温期の体温はどれくらいですか?
35℃台から36.0℃を行ったり来たりしていませんか?
高温期でも36.3から36.5℃の辺りではありませんか?
こういう状態の人は、じつは「隠れ低体温」の可能性大です。
高温期が36℃台の半ばと言っても、
低温期の体温が35℃台に差し掛かっていますよね。
あなたは高温期が36℃台なんだから良いじゃないか!と思われますか?
ふつう、その人自身の体温が
低温期から高温期までに0.3〜0.5℃の上昇している事が
月経周期後半の黄体ホルモン(プロゲステロン)量の
十分な分泌を意味していることになり、
排卵の可能性があるという指標になります。
けれども、排卵するためには、
その前に卵胞を排出できるだけの
十分な大きさに育てていかなければいけませんね。
低温期には、卵胞ホルモン(エストラジオール)が活躍し、
卵胞を活発に分割成長させ、質が良く大きさも十分な卵へ仕上げていく必要があります。
エストラジオールの十分な分泌も欠かせない要素ということは、
つまり、低温期でも体内の代謝も活発でなければ、
質の良い卵に仕上がっていかないということですね。
基礎体温は他人と見比べるものではなく、
その人固有の周期的な変動だから、
低温期にどれだけ体温が低かろうが、
まずは低温期と高温期の体温差が0.3℃以上あり、
明確に2階層に分かれている事が重要視されています。
だから、その人自身が低体温である事に気がつきにくい。
しかし、ここが問題なのです。
概してこのような低体温状態の人は、
体内の基礎的な代謝が明らかに低い。
基礎代謝量は、体温が0.5℃上昇すれば
7%増加すると言われますが、
逆を言えば、体温が0.5℃下がると、
基礎代謝量が7%減少するということになります。
基礎代謝量1200kcalの女性の場合、84kcalのエネルギーと換算できます。
生きている事そのもの、象徴と言えるのが体温なのですから、
低体温で現れる現象は、生命が低活性になっている状態、
イコール、体がしんどいと感じる状況である、ということが多いのです。
低体温で現れる症状とは たとえば、
食事を摂っても消化が悪く、あまりしっかり食べられない。
腹痛や下痢、便秘になりやすい。
太りやすい。むくみやすい。
動くと疲れやすく、かったるい。朝起きてから動き出すのに時間がかかる。
集中力が続かない。イライラしやすい。
肩がすぐに凝る。頭痛になりやすい。
生理痛がきつい。月経血が赤黒い。
手足の先が冷たくなりやすい。季節の変わり目に風邪を引きやすい。
手先や体の節々がこわばりやすい。
足がつりやすい。しもやけになりやすい。
意外と「これ、私にも当てはまりそう!」
という症状はないですか?
体温が1℃下がることで、、
自身が有している免疫機構の働き(免疫力)が
35%以上も低下するという報告もあるほど、
リンパ球(Bリンパ球、Tリンパ球、NK細胞など)の働きが大きく抑えられてしまいます。
リンパ球の働きが弱いということは、
外部からの攻撃に対する守備力が弱いということ。
つまり風邪などの感染性疾患にかかりやすい体になってしまう、
ということですね。
関節内部にも、リンパ球は常に働いていますから、
リンパ球が弱まれば、関節内も炎症を起こしやすく、
朝の起床時の手のこわばりも起こりやすくなるということが言えます。
昔から、「風邪は万病の元」といわれますが、
本当のところは「低体温状態は万病の元」と言った方が
意味合いとしては合っていると思います。
よく「低体温」と「冷え性」を一緒のものだと考えてしまう人もいますが、
実際はほんの少し違います。
また、「冷え性」が肥満を起こすという記事も目にしますが、
これもちょっと間違い。
一般的には、体の深部体温と肥満は関係ないことが科学的に検証されています。
この冷え性と低体温の違いについては、また、別の機会に取り上げてみようと思います。
今日はここまで。
次回は低体温になる原因について探っていきたいと思います。

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