今回のテーマは
低体温がおこる原因についてです。
単純ではない低体温の原因 前回触れたように、
人間を含む哺乳類には、
ある一定の体温を維持する為の基準点(セットポイント)が備わっています。
人間はおよそ36~37℃の幅の中で、
個人差はあるものの、推移しているのですが、
何かの原因によって、
36.0℃に至らない状況が恒常的になってしまっているのが
今回のテーマの「低体温」であり、その原因には
さまざまな要因が関わってきます。
基本的には、体内の代謝を活性化させて
体温を常に36℃を下回らない状態に維持し続けている
ということになる訳ですから、
基礎代謝が逆に弱体化していれば、
おのずと体温は低温になりやすくなるわけです。
では、
基礎代謝が弱化する要因はいったい何でしょう?
○年齢の増加
:成長期の15歳~17歳ごろにピークを迎え、
その後は徐々に下降していきます。
例えば80歳にもなれば、36℃台半ばを維持する為には
相当な労力が必要であると想像できるでしょう。
○運動不足
:筋肉量が少ない人=基礎代謝が低い、と思うかもしれませんが、
そうではありません。誤解の多い所です。
基本は、どんなに筋肉量を持っていたとしても、使わないとダメ。
骨格筋は身体の熱産生機関の中で最大のものですから、
動かすことでその能力を発揮します。
しかも持続的な運動つまり「有酸素運動」をコツコツと続ける事で
基礎代謝の能力は弱まりにくくなるのです。
○ホルモンの働きの低下
:「黄体ホルモン」による体温の亢進ができない。
妊娠可能な女性の中で、黄体機能が上手く働いていない人は
月経期間中に排卵期を迎えても体温がなかなか上がりません。
:「甲状腺ホルモン」の分泌が弱い
甲状腺ホルモンは基礎代謝を高める大事なホルモン。
甲状腺機能低下症や橋本病という慢性甲状腺炎では
代謝が促せず、体温は上がりにくく、疲れやすくなります。
黄体ホルモンも甲状腺ホルモンも、
それぞれのホルモンを作るための「形成刺激ホルモン」と
その形成刺激ホルモンを出す上位の「形成刺激ホルモン放出ホルモン」が
分泌されないと結局は体内に分泌されません。
最上位の総司令本部にあたるのが
脳の一部、間脳にある「視床下部」です。

視床下部は、親指の先くらいの大きさで、わずか5gほどしかない脳なのですが、
前群、中群、後群の3つに分かれていて、自律神経の中枢があり、
前群が副交感神経を、中群が交感神経の中枢を、後群が体温調節を担っています。
性欲や食欲、睡眠を統御しているのも、この視床下部なので、
過度のストレスでの睡眠障害や摂食障害、
恒常的な睡眠不足、感情や性欲の低下が見られる場合は
特に注意が必要です。
視床下部から分泌されるべき、先ほどのホルモンたちは
十分に産生、分泌されないことになってしまうのですから。
○肥満によるもの
:基礎代謝量は、体表面積の大きい方が多くなるので、
太った人や背の高い人のほうが体内の代謝は盛んですが、
過度の肥満の場合、基礎代謝や脂肪燃焼エネルギーを上回る
脂肪の蓄積が進んだ現象のため、
産熱が進まず、体温も上がりづらくなります。
○過度なダイエット
:やせ過ぎも危険です。
女性マラソンランナーの痩せ過ぎもそうですが、
一般女性の過度なダイエットによる体重減少は
体表面積が少ないからだけでなく、筋肉が細くなりやすいため、
基礎代謝を落とし、体温を上げる要素が欠如してしまいます。
前述の「視床下部」にも影響し、各ホルモンの分泌も抑えられてしまい、
余計に体温が下がりやすくなります。
・睡眠不足
:睡眠が恒常的に不足すれば、
交感神経は休まることなく過剰に緊張し、やはり視床下部に影響を与え
体温調節機能を乱します。
副交感神経機能も作用する余裕もなく、
筋肉が緊張したままになるので、骨格筋による産熱も
円滑に起こらなくなります。
たかが、睡眠。けれど睡眠なのです!
夜は就寝の遅くとも2時間前には明るい照明を避け、
PM10時には入眠できるように工夫してみましょう。
・目の使い過ぎ
・腸内粘膜の弱体化
一つの理由では説明がつかないのが
この低体温の難しい所であるが故に、
低体温の解消そのものも
非常に難しいことであるのです。
生活スタイルを見直し、
こつこつと体を動かしていくことが、
低体温克服の第一歩となると思います。
生命力にもつながる高い体温での維持を
目指していきましょう!!