みなさんこんにちは、Jです。
なんだか毎日寒いですよね。昨日なんて雪降りましたもんね。お風邪などお召しになっておられませんか?
冷えは妊娠の敵ですから、暖かくしてくださいね。
さて、おかげさまで2月17日(日)のセミナー(リハーサル)が終わりました。
鍼灸関係のかたがたが集まってくださって、まだまだ練りの足らないセミナーを最後までちゃんと見てくれました。
終了後は、率直な意見をたくさんいただき、本番へ向けた改善点が見えてきました。
やってみないとわからないことってあるものですね。リハーサルをして本当に良かったです。
次回の、一般のかたにお越しいただく回は、もっと良いセミナーにできそうな気がしてきました。
これから修正におおわらわですが、スタッフ一同がんばります!!
今回参加してくれたかたに、なんと国家試験を1週間後に控えた鍼灸学生がいました。
一応ご説明しておくと、鍼灸師になるには、鍼灸学校に3年間通い、国家試験に合格する必要があります。
国家試験は毎年2月の1回きりなので、仮に失敗すると1年待たなければ再受験できません。
まあ、普通に勉強していれば受かる内容なのですが、それでも緊張する試験です。
そのプレッシャーを考えると、わざわざ国家試験前に時間を割いて来てくれたことだけで、本当に感謝感謝でした。
セミナー最後の質疑応答に入ったときのこと、その彼が、「セミナーには関係ないのですが、鍼灸師の先輩がたにお聞きしたいことがあります」と切り出しました。
「僕は、これから国家試験を受けて鍼灸師になるのですが、どんな心構えで患者さんに接していけば良いのでしょうか?先生方は、どんなスタンスで治療しているのですか?」
学生らしい、生真面目な質問でした。
その場には、4人の鍼灸師がいました。
ちょっと青臭いと言えば青臭い。真面目に答えるのは気恥ずかしい内容です。
でも、4人とも、彼の真摯な態度にうたれ、誠実に答えていました。
なんだか、おのれの初心を思い出させてくれる体験でした。
自分が新人の頃のことを思い出したのです。
今回は、不妊の話ではなく、私の青臭い「初心」の話です。
ご興味があるかたはおつきあいください。
彼には言わなかったことがあります。
それは、とても”勧められる”心構えではないからです。
実は私は、治療を始めた最初から「治せなくて苦労した」という経験があまりないのです。
天才だったわけではありません(笑)。ある”心構え”がポイントだったのです。
私は、自分の患者さんを受け持たせてもらえるようになると、なぜかみるみるその数が増えていきました。
鍼灸の技術も未熟だし、知識も大したことがないのに、どういうわけか患者さんは「ラクになった」と喜んでお帰りになり、次回の予約を心待ちにして「治療に来るのが楽しい」と言ってくださいました。
お知り合いをご紹介くださるかたもいて、いつのまにか毎日10人もの患者さんを治療させていただくようになっていたのです。
でも、それはちっとも私の自信にはつながりませんでした。
なにしろ、どうして治るのか、私自身が不思議だったのですから。
私は、「治るのは患者さんの手柄。私は何にもしてない。ビギナーズラックだ」と内心その状況を恐れていました。
「今にビギナーズラックが終わるから、それまでに本物の技術や知識を磨かないと」とむしろ必死でした。
いま、改めてあの頃のことを思い出すと、よくわかるのです。
「なるほど、私は他の鍼灸師と心構えが違ったのだ」と。「だからあんなに効果が出たのだ」と。
では、なぜその心構えを、彼に話さなかったのか。
それは、勧められる心構えではないから・・・です。
私は、当時「この患者さんが良くなるなら、この患者さんが妊娠するなら、私は明日生きていなくていい」と思いながら一人ひとりに全精力を込めて治療をしていました。
それが私の、治療に対する心構えでした。
まさに命がけ。
自分の命を全部患者さんに捧げる覚悟で治療をしていました。
翌朝、目が覚めたとしたら、まだ自分が診るべき患者さんがいる。だから生かされている。
命が尽きるまでこれを繰り返していけば良いのだと思っていました。
ある時、一人のアシスタント学生が私に聞きました。
「患者さんから”悪い気”をもらって具合が悪くなることがあるって聞いたんですけど、どうすれば”受けなくて”すみますか?」
私の答えは簡単でした。
「受けたくないなら、鍼灸師になるのはやめたほうがいい」。
あの頃は、戦場に裸で乗り込んでいくような気持ちで治療をしていました。
無傷で帰ってこようなんて、”厚かましい”ことは考えなかったのです。
時を経た現在、今なら分かります。
「私のやり方は無茶だった」と。
「鍼灸に命をかける」というたとえはあっても、誰も本気ではないでしょう。
でも、私は本気だった。だからこそ、未熟な私でも鍼の効果が出たのです。
今は命をかけていないか?
ええ、命かけてません(笑)
今は「明日も生きていなくっちゃ」と思うからです。
あの頃、命がけで治療した患者さん達には、お子さんが生まれ、どんどん大きくなっています。
その子たちも、そのご両親も、いつまでも元気でいてもらいたい。
治療家としての責任は、いつまでも終わらないと分かったのです。
責任を果たすためには、生きていなくてはならない。元気でいないといけないのです。
今は、「ちょっとだけ」命のおすそ分けはしますが、「ちょっとだけ」でもちゃんと効果が出るように、鍼灸の技術や知識が補ってくれるようになりました。
ありがたいことです。
それを「経験」というのでしょうか。
特攻隊気分だったあの頃の「初心」を思い出すと、本当に恥ずかしくなります。
でも、今も変わらないのは「患者さんの命がよみがえる一本が打ちたい」という気持ちです。
なんて・・・改めて書くと照れますが、今回は青臭いまま終了です。