子宮筋腫は、不妊と関係があるか

みなさんこんにちは!Jです。
いよいよ梅雨の季節突入ですね。
梅雨どきは、気温がそんなに高くなくても湿度のせいで、ついつい冷たい飲み物などを取りすぎて体を冷やすことが多いです。
みなさんもお気をつけくださいね。
さて、今回のテーマは「子宮筋腫は不妊と関係があるか」です。
子宮筋腫自体は今や、非常にありふれた病気になりました。
女性の3人に1人は筋腫を持っているというデータもあるくらいです。
基本的に良性のものですから、コブみたいなものだと思っていただけるとイメージしやすいかもしれません。
なぜこんなに子宮筋腫になる女性が増えたかというと、女性が一生のうちに経験する生理の回数が増えたことが一因だと言われています。
昔の女性を、典型的な例で考えてみると、初潮がきたら数年のうちに結婚し、ほどなく妊娠。その後は母乳が出ているので、妊娠の期間と合わせて1年半から2年くらいは生理が止まります。
生理が再開すれば、また数ヶ月で妊娠。そうやってたくさん子供を産んでいましたから、生涯の生理数が少なかったのです。
昔は平均で50回。今は450回というデータもあるほどです。
つまり、子宮は妊娠するための臓器で、毎月毎月出血するようにはできていないのです。生理の回数が増えるほど、子宮筋腫などの弊害が出やすくなるのだと考えられています。
では、この子宮筋腫があると、妊娠に悪い影響があるでしょうか?
実は、子宮筋腫と一口に言っても、できている場所によって3種類に分けられ、それぞれで妊娠しやすさに差があります。
一つ一つ見ていきましょう。
1.漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
漿膜下筋腫
2.筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
筋層内筋腫
3.粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
粘膜下筋腫
子宮そのものは筋肉みたいな組織でできているのですが、その外側(お腹の中がわ)にあるものが1番、子宮自体の厚みの中に食い込んでいるものが2番、内側(出血してはがれる側)にあるのが3番です。
一番多いタイプが2番で、しかもこのタイプは1つではなく複数見つかることが多いです。
結論から先にいえば、3番のタイプは不妊との関係がもっとも濃いので、不妊治療より、筋腫を取る手術を先にすべきです。
2番の場合も、筋腫が大きくなると内側に出っ張ってくるので3番に近くなってきますし、数が増えると子宮内膜の血行が悪い部分が増えますので、妊娠はできても流産につながるという側面もあります。
1番はほとんどの場合無症状で、かなり大きくなってから発見されることもあります。筋腫の中ではもっとも不妊との関係が薄いタイプといえるでしょう。
筋腫があると必ずしも症状が出るわけではありませんが、以下のような症状があれば、一度婦人科で調べてもらったほうが良いと思います。
1.月経量が増えてきた
2.生理痛がひどい
3.妊娠しない
不妊治療の専門ドクターの中には「これくらいの筋腫だったら妊娠には問題ないから、不妊治療を先にしましょう」とおっしゃるかたもおられるようです。
ただ、不妊治療の専門家と筋腫を手術するドクターは専門が違うので、手術担当のドクターの場合との見解が違うこともあります。
実際のところ、その筋腫が不妊にどのくらい影響するかは、できている場所や個数、大きさなどでドクターの判断が分かれるところでもあります。
30代後半で、不妊治療をしていて、しかも筋腫がある患者さんの場合、なるべく早く妊娠したいというあせりもあるでしょう。
しかし、妊娠反応は出たけれど、筋腫のせいで流産したのでは結局遠回りになってしまうかもしれないのです。最終的に出産まで至るためには、どこかで筋腫の手術は必要になるかもしれません。
もし、手術をすすめられたことがあるなら、手術の予約をしておいて、それまでの間に採卵だけを続けるというのもひとつのやり方だと思います。
手術をためらっておられる患者さんのために、手術についても簡単にご説明しておきましょう。
妊娠のための筋腫手術の場合は、2番か3番のタイプの筋腫ですから、ほとんどの場合は子宮鏡による手術になります。(2番の場合は腹腔鏡を使った手術になることもあります)
子宮鏡ですと、膣のほうから手術器具を入れて筋腫を取りますので、お腹に傷はつきません。入院も3日から5日くらいですみます。
もちろん、子宮はきれいに残ります。
手術の1ヶ月くらい前からスプレキュアなどの点鼻薬を使って生理を止めてから手術することが一般的です。
患者さんの中には「筋腫を取ると半年も採卵できない」と勘違いしておられるかたもいらっしゃるのですが、そんなにはかかりません。筋腫を治したいドクターとしては、生理を止めておけばおくほど筋腫が小さくなるので、「治療のためには半年くらい生理を止めると良い」とおっしゃるのだと思います。
不妊治療に戻れるまで、せいぜい2~3ヶ月のロスで済みますから、不妊治療で3周期以上成果が出ていないかたは手術を考えてみることをおすすめします。
手術はたいてい大学病院で行うことになるので、不妊治療をしている病院で紹介状を書いてもらうか、かかりつけの婦人科で紹介してもらうのが良いでしょう。
大きな病院だと、いろいろなところから患者さんが紹介されてくるので、手術まで数ヶ月待ちということも珍しくありません。早めに手術の予約をしておいて、その間に採卵スケジュールを組んだほうが現実的だというのはそのためです。
また、子宮筋腫は子宮内膜症や子宮腺筋症を合併しやすいので、悪化しないように管理することが大事です。
子宮内膜症や子宮腺筋症と不妊との関係については、また別の機会にお話しますね。
これを読んでくださっているみなさんに、一日も早くかわいい赤ちゃんが授かりますように!!

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